周期算と群数列-算数と数学の基礎は同じ

算数と数学の基礎は同じ 算数の工夫

2023年が終わりましたね。のんびり年末年始を過ごしていたら、2023年を振り返ることも忘れたまま、衝撃的なニュースで2024年が始まりました・・・。地震の被災者の皆様や、航空機の事故に巻き込まれた方がいる中で、僕と家族は無力ながら平和に過ごしつつ、祈るしかできません。

話は大きく変わりますが、最近長女が周期算を習っています。この2023という数字、周期算のネタに使いやすい数字だなぁ、と思ったので、2023年を振り返る代わりに周期算の基本を振り返りつつ、実はこれが高校数学の群数列にもつながっていることを紹介します。

周期算とは?

周期算はある一定のパターンで繰り返される数字に関する問題です。例えばこんな問題。

ある規則に従って数字が並んでいます。2023番目の数字はなんでしょう?

2,0,2,3,2,0,2,3,2,0,2,3,2,0,2,3,‥

この数列は「2,0,2,3」という4つの数字の繰り返し(周期)から成り立っています。

周期算の基本的な考え方は、「1周期分の数字の数で割った商と余りを考える」になります。

この数列は4つごとに同じ数字を繰り返す周期なので、

  \( 2023 \div 4 = 505 \cdot\cdot\cdot 3\)

より、2023番目の数字は506周期目の3番目の数字なので、2

周期算で割り算の商と余りからわかるのは、何周期目の何番目かという情報になります。この情報が解答の上で非常に重要になります。

周期算解答のポイント

  • 何周期目の何番目か全体で何番目かを常に意識する
  • それを知るために、周期で割った商と余りを利用する

周期算の応用問題

このような周期算の応用問題は、試行錯誤することでこれが周期算の問題であることに気づくことから始まります。例えば次のような問題。

2023を2023個かけた時の一の位はいくつか?

掛け算を繰り返していくわけですが、掛け算の結果の一の位は、元の数字の一の位通しをかけた時の一の位になります。なので、まずは2023の一の位である3を何度かかけてみましょう。すると、

2023を1個かけた?時 →一の位は3
2023を2個かけた時 \(3 \times 3 = 9\) →一の位は9になった
2023を3個かけた時 \(9 \times 3 = 27\) →一の位は7になった
2023を4個かけた時 \(7 \times 3 =21\) →一の位は1になった
2023を5個かけた時 \(1 \times 3 = 3\) →一の位が最初の3に戻った

と一の位は 3 → 9 → 7 → 1 という4つの数字が繰り返していくことがわかります。

つまり、この問題はこの4つの数が繰り返した場合、2023個目の数は幾つになるか、という周期算になるわけです。

あとは、2023個目の数は何周期目の何番目かがわかれば良くなります。

\( 2023 \div 4 = 505 \cdot \cdot \cdot 3\)

なので、3つ目の数である 7 が答えになります。

この手の「最初に自分で試行錯誤して繰り返しに気づき、周期算として解答する」タイプの問題は、中学入試でも頻繁に出題されていますね。

周期算は高校数学でいう群数列の特殊版

実はこの周期算、高校数学(=大学入試)で扱う群数列の特殊版なんですよね。なので、実は高校数学でやる群数列でも、解く際の基本は全く同じです。

群数列とは、何らかの規則でグルーピングされた数が並んでいる数列のことを指します。よく高校数学では、次のような問題で出題されます。

1 | 3 5 | 7 9 11 | 13 ・・・

のように、奇数の数列を第m群にm個の奇数が含まれるように分ける。

2023は第何群の何番目か?

群数列で大切なことは、この問題で問われている、「第何群の何番目か」ということを正しく認識すること。そのために、第m群には何個の数があって、第m群の最後の項は全体で何番目になるのかを把握することになります。

群数列解答のポイント

  • 群数列では、第何群かその群の何項目か全体で何番目か、の3つを考える
  • この3つを考えるために、
    • 第m群には何個の数があるか、mを使って表す
    • 第m群の最後の項は全体で何番目か、mを使って表す
    • 全体でn番目の数が第m群にあることを、
       (第m-1群の最後の項が全体で何番目か) \(\)< n \(\leqq\) (第m群の最後の項が全体で何番目か)
      という不等式で表す

数列を苦手にする人は多いですが、群数列はこの3つを意識できれば、比較的単純なパターン問題になります。この「第何群か、その群の何項目か」というのは、周期算でいう「何周期めの何番目か」というのと全く同じですね。

例えば、冒頭の問題では、

  • 第m群にはm個の数が含まれている
  • 第m群の最後の項は全体では1からmまでの数字を足した \(\dfrac{1}{2}m(m+1)\)番目

となります。

2023は全体で1012番目の奇数なので、もし2023が第n群にいるとすると、

  • \(\dfrac{1}{2}(n-1)n < 1012 \leqq \dfrac{1}{2}n(n+1)\)

を満たすことになるので、これを満たす自然数\(n = 45\)とわかります。

第44群の最後の項は全体では \(\dfrac{1}{2} \times 44 \times 45 = 990\) 番目なので、全体で1012番目である2023は、第45群の \(1012 – 990 = 22\)項目とわかります(ちなみに、この引き算の結果が第45群に属する数字の数=45を超える場合、どこかで計算が間違っていることになることを理解しておくと、ミスを防げますね)。

これが大まかな群数列の考え方の基本です。

小学校、中学校、高校と勉強は繰り返していく

こうしてみると、算数・数学の勉強というのは、新しいものばかりを学んでいくだけではなく、以前学んだことを思い出して発展させていくものなんだなぁとしみじみ感じます。先日娘が周期算を解いているのをみて、長年大学受験向けの塾で教えていた僕は、「小学生って群数列の基礎的なことをやってるじゃん!!」と驚いたものです。

小学生で算数を苦手(あるいは嫌い)になる子が多いですが、中学校、高校と小学校で習った算数のやり方をこうやって応用していくことを考えると、小学校での算数のつまづきは、後々大きな影響を与えるなぁと感じました。逆に、小学校の算数がしっかりできていると、その後の数学も意外と理解しやすい部分は多いのでしょう。

よくよく考えると、理科や社会では「同じことを繰り返しつつ応用して学んでいく」という構造はとてもわかりやすいですよね。例えば小学生で熱の3つの伝わり方を学びますが、それが中学校や高校になると「分子の熱運動」というエネルギーの話に応用されていきます。

2023年は、娘と過ごす時間を増やしたいという気持ちから、朝の出勤前に一緒に勉強するという習慣をつけました。そのことで単純に娘がしっかり勉強するようになっただとか、自分の生活習慣が改善されたというメリットがあっただけでなく、単純に娘とのコミュニケーションが増えたことで、今娘がどんなことをしていて、どんなことを考え、感じているのかを知ることができました。その中で今回周期算というテーマで振り返った通り、小学校から高校まで(さらにいえば大学でも)、以前に習ったことをベースに少しずつ応用的なことを学んでいくということを、学校の枠組みが変わってもシームレスに行っているんだなぁと感じることが多々ありました。しかも、高校数学をずっと教えてきた僕からすると、中学受験のために娘が勉強している算数の考え方は、基本的なところで大学受験の数学と共通しているのです。一つ一つの積み重ねが大事なんだなぁと改めて感じさせられた2023年でした。

今日から2024年の仕事始めですね。今年も一歩一歩、頑張っていきたいと思います。

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